ご挨拶

名古屋市立大学
大学院医学研究科
脳神経科学研究所 所長

澤本 和延 

 2021年4月より、脳神経科学研究所の所長に就任しました澤本和延と申します。本研究所は、道川誠前医学研究科長(初代所長)のリーダーシップの下、2019年10月に開設されました。前身である分子医学研究所の時から活動を行ってきたグリア細胞生物学分野、神経毒性学分野、神経発達・再生医学分野に加えて、認知症科学分野と神経発達症遺伝学分野が新たに設置されました。さらに、2021年度より、名古屋市からの支援により認知機能病態学寄附講座が開設されました。

 脳研開設から1年半が経過し、脳神経科学の基礎研究、特に脳疾患の病態解明と予防・治療開発に取り組む研究所として、少しずつ体制が整ってきました。徐々に研究者数も増加し、競争的研究費の獲得や論文発表も増えつつあります。コロナ禍の中で不足しがちな研究者間の交流の方法を工夫し、所内の情報交換や共同研究を促進したいと考えております。さらに、付属病院を含む学内の研究者はもちろんのこと、国内外の研究施設や企業とも連携し、さらに研究力を強化することが必要です。

 研究所の建物に開設された共同研究教育センターには、最新のイメージング関連機器の他、マウスの認知機能や運動機能などを解析することができる機器類も大学の共用機器として設置される予定です。2021年度に開設予定のバイオバンクでは、血液などの生体試料を医療情報と合わせて保管し、医学研究に活用することが可能になります。これらの施設は、脳科学だけでなく、名古屋市立大学の様々な医学・生命科学の研究や、学外の研究者との共同研究にも活用されることが期待されます。

 本研究所は、脳神経科学の基礎研究を推進するとともに、その成果を実用化につなげることを目指しています。また、若手研究者に対して脳神経科学の教育・研究指導を行い、国際的に活躍する脳神経科学研究者を育成したいと考えております。

 研究者の皆様が、研究を楽しみ、実力を発揮し、成長できる場となるように、そして脳神経科学の発展に貢献できるように、構成員一丸となって努力してまいります。

 脳研の発展のためには、皆様のご協力とご支援が必要です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

概要

脳神経科学研究所は、脳神経科学領域における基礎研究推進を目的として、2019 年10月に設置されました。
脳の細胞や神経回路の発達機構や機能を解明するとともに、様々な脳神経疾患の病因・病態解明と診断・予防法の研究、さらには創薬・再生医療など治療法の開発に取り組んでいます。分子・細胞・個体レベルの様々なアプローチによる多角的かつ高水準の脳神経科学研究によって、超高齢社会で増大する認知症・脳卒中などの加齢脳疾患や、社会的関心が高い神経発達症、精神疾患、脳腫瘍などの克服を目指します。

研究

腫瘍・神経生物学分野、神経毒性学分野、神経発達・再生医学分野、認知症科学分野、神経発達症遺伝学分野および認知機能病態学寄附講座分野の6部門で脳の機能解明ならびに脳神経疾患の克服を目指した最先端の研究を推進します。

教育

学部生・大学院生など若手研究者に対して脳神経科学の高水準の教育・研究指導を行い、国際的に活躍する脳神経科学研究者を育成します。

社会貢献

基礎研究の成果を臨床研究・実用化につなげるため、学内外の研究施設・病院と協力したトランスレーショナル・リサーチや産学連携研究を推進し、社会へ貢献します。

組織図

 

沿革


昭和62年 分子医学研究所開設
第1番目の部門である生体高分子部門設置(基礎医学教室第3期棟内:現在の病院中央診療棟の位置)
平成元年 生体制御部門設置
平成4年 分子医学研究棟完成( 現在の脳研の位置:昭和60年設置のR I 施設に増設)
平成6年 分子遺伝部門設置
平成15年 大学院化に伴い、生体高分子部門は生体防御学分野、生体制御学部門は分子神経生物学分野、分子遺伝部門は細胞分子生物学分野となる  分子毒性学分野設置
平成19年 生体防御学分野から展開医科学分野へ名称変更 再生医学分野設置
平成26年 展開医科学分野から遺伝子制御学分野へ名称変更
令和元年 脳神経科学研究所設立 新たな5部門に改組
令和3年 認知機能病態学寄附講座分野設置(6部門に)
令和6年 グリア細胞生物学分野が腫瘍・神経生物学分野に名称変更